ピアノコンチェルトへの挑戦

人とのコミュニケーションがとれない、新しい環境への適応、不特定多数の中での動きを苦手とされる自閉的スペクトラムに属する男子が大ホールでのピアノ協奏曲を成功させるまでの日記

余韻

本番前の最も物事が動いた日々の最中、

リアルタイムで記録することができませんでした。

 

 

本番は予想を上回る行列の入場をしていただいたと、後で伺いました。

            

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本番前日のオケ合わせと本番にかけての写真をまとめてくださった

ものが今日届き、どれだけの人の思いが関わっていたコンサートだったのかを改めて実感しました。

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本番のショットは勿論ゴールなのですが、

前日リハからゲネプロに臨む姿から綴っていただいたフォトDVDを見ながら、本番は終着点としての1演奏であり、前日からのたった2日に含まれた壮大なドラマは、更にそれ以前の日々を凝縮したものであったことが、記憶として鮮やかに蘇ってきました。

裏方の方々は一つのコンサートを作り上げるために、そして、奏者はそれぞれ一つの曲を作り上げるために、同じ道のりを同じ情熱を傾けて歩みここに至ったのだと、改めて感じることができ、改めて感動と感謝を覚えました。

コンチェルト、ありがとう!

カデンツァのペダル

月曜日は大き目のピアノを借りて、練習してきました。

そして昨日は最終レッスン。ここからは自力で調整です。

 

カデンツァの最後の一節が、何となく物足りず、

ペダルを使うことにしたのが一昨日。

最後のプレストに入る前のカデンツァです。

ここを、ハーフペダルでずーっと踏んでいく。

そして、次のミレドシラ、ソシレドシラソファ・・とクルクル回りながら降りてくると

ころは、スピードで弾いていたのを改め、くっきりとして音で車輪のような丸を

描きながら降りてくるイメージに変更。この和音8ソシレ、レファラ、シレファ)のマ

ルを作るところにもペダルを使うことにしました。

 

masaの特徴の一つ、最初に覚えてしまったことを打ち消し変更することは

最初に覚えた時の労力の何倍も時間がかかるのです。

なので、ここで弾き方を変更することに対応しようとしている彼はそれだけでもずい分

成長したのでしょうが、そのせい(変更した部分を頭で調整してひいている)で全体が

機械的に響き、歌えていないことに今度は未熟を感じ、なかなかすっきりと練習にキリ

がつかない今日でした。

 

オケとの合わせまであと2日・。

 

外のピアノで

家のピアノの響きに耳が慣れてきていると思ったので
今日は外の練習室をお借りして、弾いてきました。

しばらくぶりのそのお部屋には、アップライトがもう一台入り
2台ピアノができるように変わっていました。事務の女の子も新しい方が
入っていて、駐車場のシステムも変わっていて、
ほんの半年でけっこう世の中のいろいろは変わるのだと実感しました。

ピアノ部屋をかなりデッドニングしている我が家と違って、壁や天井から跳ね返る
音も相まってのピアノの響きは、速くなってしまうところや
きちんと弾けていないところがよくわかり、期待通りの練習になったかな。

 

音が良く響き、少し速く弾くと気持ちよくなってきて、雑になってくる・・

これを丁寧に直す。。。の繰り返しをどうコントロールして、慣れてしまわずに気持ちを盛り上げていけるか。本番がある曲というのは、この調整が毎回チャレンジです。

 

ピアノ協奏曲第3番3楽章 (ベートーベン)

 

全体を通して弾くのに慣れてしまってタッチが浅くなることを懸念し始めた

この頃、今だにうまくいかないと感じ続けているのが102小説目のトリル二つです。

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この一拍に3回のシドを入れたいと力が入ると、うまく行かない。

当初は諦めて2回にして弾いていましたが、やはり足りない。時間的には口で言えるくいの速さで3回を入れられる間があるのにどうしてだろう。

改めて研究してみました。

(小さいころから指が良く回って、トリル大好きな方は自然に弾けるのでしょうから読み飛ばしてください。)

 

まずはじめに、左手の和音と合わせるタイミングがシドを2回入れる時のままだと、左手の2拍がのびてしまいます。つまり

「シドシド シラシ」と入れていた時は最後の「シラシ」で左手を入れるようにになっていたので、そのままトリルを3回にするという感覚だと、

「シドシドシド」と弾いてから「シラシ」という形に捉えてしまい、2分の1拍の中に6個の音を押し込めようとしてしまっていることに気づきました。

そこで、「シドシド」と「シドシラシ」に分けて捉える。これを何度か練習。

 

次に、「ラシ」が重すぎるために次の1オクターブしたの「シ」をうまく捕らえられず、そのために早めに1つ目のトリルを終わらせようとしていると見えるので、トリル部分を入れずに「ラシ」だけを入れて、テンポで弾いてみる。

「シ~~ラシ、シ~~ラシ、ミ~~」という感じ。

この時、「シ~~」の中にシが3回入っている感覚を持ちながら、、心の中で「シ、シ、シ」と歌いながらのばすこと。そうすると、「シ、シ、シ」と意外とゆったりと言えることに気づく。充分「シドシドシド」と弾く時間があることに気づきます。

 

と同時に、「ラシ」が素早く切り上がっていなかったことにも気づきます。

そして、テンポで左手と合わせながら「シ~~ラシ、シ~~ラシ、ミ~」という練習。

これがちゃんと弾けると、3回のトリルが難なく入るようになりました。

 

でも、通して弾くと、どうしてもまだその感覚が定着していないのですね。気負って入ってくるのが分かる。それでおだんごになる。。

そんなことの繰り返しです。

 

通しの練習は、全体が甘くなるのであまり何度もしたくないのですが、

‟部分練習ではできるけど”を抜け出すためにはどのようが工夫が必要か、この辺りが課題です。

 

 

カデンツァをどうするか・・

本番で弾ける部分が限られているので、仕上げが近づいてくると、カデンツァはこれでいいのか、というふりだしに戻ったりしています。

3番の第3楽章には3か所のカデンツァが出てくるのですが、その一つ目、

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21小節のところです。

最後の「ファソファソファファソ・・・・」の音はトリルとはなっていなくて

その次の「ソラソラソラソラ・・・」はトリル。

この楽譜に忠実に弾くと、ツィメルマンンの演奏がもっとも近い形になります。

つまり、「ファソファソ・・」と口で言えるくらいの速度dしっかりと弾く。

そして、トリル。

でも、多くのピアニストの演奏では両方ともトリルのように弾いている人が圧倒的に多いのです。トリルにしてしまうと昇りつめた感じが薄くなってしまうからオリジナルはこのようになっているのだと理解しているのですが、耳コピでここはトリルだと思っているお客様もしくはオケの人が聞いたら違和感を感じるのではないかしら。

 

もう、周りのことが気になっている時点で本人なあアウトですけれど。

この2音を引く指づかいも、3・1で弾くか、2・3で弾くか。

私とmasaは手のサイズが全然違うので、こちらの方が絶対いいとは最後までいいきれないところがたくさんあります。

 

椅子の位置もそうです。

ほんの少しの違いでも違和感を感じて、自分の椅子の高さ、近さに調整するのが大半のピアニストさんだと思うのですが、本人はまったく気にしないので、観ている方がハラハラしてしまいます。気にしないで、どこでも同じように弾けるのなら良いのですが、人の身体ですからそんなはずありません。

昔々、極近に置かれた椅子にそのまま座って『軍隊ポロネーズ』を弾いたときの本番は全ての音が定規で測ったように外れて、目も当てられませんでした。そこまで感覚だけで弾いていることは、今はないとは思いますが、やはり響きを出したいところで出せる距離感というのをもう少し気にして座ってもらいたい・・・。

 

あらかじめ好きなようにイスをセットしておける、ソロでの催し等と違い、前のピアニストさんの使ったイスを使う催しの時は、いまだにそんなところにまで対処法を講じています。

 

試み

昼間、別の作業に追われて一人で指慣らしをまかせていたのも本番当日の良い参考になるかな、という目論見がありました。

午後数時間はピアノから離れた彼に、夕方「はい!本番です」と言ってどのくらい弾けるか聞いてみました。

予告なしの勝手な試みなので、仕方がないと言えば仕方がないですが、全然弾けない。。。その場で再びリズム練習を始めるので

「当日は練習できないの。ここでリズム練習はできないの。」

という厳しい待ちスケジュールを理解してもらおうとしました。口では説明しても、いつもピアノが弾ける環境(家)では、なかなかピアノが弾けない状態で何時間もキープしておく、というイメージがわからないようです。

昼間に一旦アップしていたはずの手も、(本人に100%任せた状態では)あまりできていなかったということもよくわかりました。

 

こんなところでそれを確認してどうするの。

1日でも充実した練習をした方が良いのじゃないの。と心が叫んでいます。楽しく、でもシビアに、幸せに、でも失敗しないように。。。葛藤です。

 

練習模様

取り組んでいるのはベートーベンピアノ協奏曲の第3番3楽章。とてもシンプルな音の並びで始まるので、きちんと弾いていないと最初のパッセージで曲を伝えられない。。。

歌って弾いているのか、この先どうしたいと思っているのか何も考えずに弾いているのか、すぐ伝わってしまうのが音の少ない部分の恐いところです。昨日は、その出だしだけでやり直しをくりかえして4時間経ってしまっていました。

 

本当は最後のクライマックス、プレストで始まるところをもっと弾けるようにたくさん練習したいところなのですが、昨日そこまでいかなかったので、今日はここからしました。

16分音符が連なっていたり、速くて忙しいところは、速く弾きたいが先行して、だんだん雑になって来てしまうのが技量の低さということなのでしょう。

ゆっくり短く、手のフォームを直したいところやペダルを修正しながらで子のパッセージだけで気づくと2時間。早いな、、、

 

表情や姿勢、ピアノを弾かない部分の待ち方、などの研究に色々なピアニストさんの演奏を見比べて、一番分かり易かったのが内田光子さんだったので、彼女の弾く音にあわせて弾いてみたりすると、ひっぱられて準備のテンポが良くなる気がする。。。

ビデオで、内田さんのカデンツァの指使いが今弾いているのと違うのを見て、この方がいいのかもしれない、と思うところもあったけれど、もう今から直すのは危険なので諦めました。

一つのことを定着させるのに2週間はかかると思っているので、今週が一つの区切りかなと思っています。