ピアノコンチェルトへの挑戦

人とのコミュニケーションがとれない、新しい環境への適応、不特定多数の中での動きを苦手とされる自閉的スペクトラムに属する男子が大ホールでのピアノ協奏曲を成功させるまでの日記

カデンツァをどうするか・・

本番で弾ける部分が限られているので、仕上げが近づいてくると、カデンツァはこれでいいのか、というふりだしに戻ったりしています。

3番の第3楽章には3か所のカデンツァが出てくるのですが、その一つ目、

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21小節のところです。

最後の「ファソファソファファソ・・・・」の音はトリルとはなっていなくて

その次の「ソラソラソラソラ・・・」はトリル。

この楽譜に忠実に弾くと、ツィメルマンンの演奏がもっとも近い形になります。

つまり、「ファソファソ・・」と口で言えるくらいの速度dしっかりと弾く。

そして、トリル。

でも、多くのピアニストの演奏では両方ともトリルのように弾いている人が圧倒的に多いのです。トリルにしてしまうと昇りつめた感じが薄くなってしまうからオリジナルはこのようになっているのだと理解しているのですが、耳コピでここはトリルだと思っているお客様もしくはオケの人が聞いたら違和感を感じるのではないかしら。

 

もう、周りのことが気になっている時点で本人なあアウトですけれど。

この2音を引く指づかいも、3・1で弾くか、2・3で弾くか。

私とmasaは手のサイズが全然違うので、こちらの方が絶対いいとは最後までいいきれないところがたくさんあります。

 

椅子の位置もそうです。

ほんの少しの違いでも違和感を感じて、自分の椅子の高さ、近さに調整するのが大半のピアニストさんだと思うのですが、本人はまったく気にしないので、観ている方がハラハラしてしまいます。気にしないで、どこでも同じように弾けるのなら良いのですが、人の身体ですからそんなはずありません。

昔々、極近に置かれた椅子にそのまま座って『軍隊ポロネーズ』を弾いたときの本番は全ての音が定規で測ったように外れて、目も当てられませんでした。そこまで感覚だけで弾いていることは、今はないとは思いますが、やはり響きを出したいところで出せる距離感というのをもう少し気にして座ってもらいたい・・・。

 

あらかじめ好きなようにイスをセットしておける、ソロでの催し等と違い、前のピアニストさんの使ったイスを使う催しの時は、いまだにそんなところにまで対処法を講じています。